文章を書くことには、様々な形があります。今回は、代表的なジャンルである小説とエッセイの違いから、それぞれの書き方、そして気軽に始められるSNSでの発信について解説します。
小説とエッセイ、根本的な違いは?
まず、文章を書く上で最も基本的なジャンルである小説とエッセイ。2つの違いは「事実」か「虚構(フィクション)」という点です。
小説は、作者の想像力から生まれる、空想の物語です。登場人物や出来事、物語の世界はすべて創作であり、作者は自由な発想で読者をその世界に引き込みます。壮大な冒険物語から繊細な恋愛模様まで、その内容は多岐にわたりますが、共通しているのは「作り話である」という点です。
一方でエッセイは、筆者の実体験、見聞、考えに基づいた事実の文章です。「随筆」とも呼ばれ、個人的な視点から日々の出来事や心の動きを自由に綴ります。そこには嘘や作り話はなく、筆者の正直な思いや考えが表現されます。
エッセイと私小説の違い
小説とエッセイの間には、「私小説(わたくししょうせつ)」という独自のジャンルが存在します。
これは、作者自身の経験や身辺の出来事を題材にしながら、作者自身を主人公として描く小説です。エッセイのように事実に基づいている点が共通していますが、大きな違いは脚色が含まれるかどうかです。私小説は、エッセイよりも小説(フィクション)に近いジャンルだと言えます。
エッセイとノンフィクションの違い
ノンフィクションは、事実を客観的に伝えることを目的としたより広い概念です。
それに対し、エッセイはノンフィクションの一つの形式であり、事実を基にしながらも、筆者の主観的な視点や感情を伝えることに重きを置いています。
たとえば、伝記はノンフィクションですが、自伝はエッセイに近いです。また、社会問題を客観的に掘り下げる文章はノンフィクションのルポルタージュ、同じテーマでも個人的な体験を通して考察を述べる場合はエッセイとなります。
エッセイとフォトエッセイの違い
フォトエッセイは、写真とエッセイを組み合わせたジャンルです。文章だけで表現しきれない筆者の感情や、文章だけでは伝えきれない情景を、写真が補完する役割を果たします。
一般的なエッセイが言葉を主体にしているのに対し、フォトエッセイは写真と文章が互いに作用し合い、一つの世界観を作り上げるのが特徴です。
たとえば、旅のフォトエッセイなら、その土地の風景を収めた写真と、そこで感じたことや考えたことを綴った文章がセットになっています。写真は単なる挿絵ではなく、文章の一部として物語を語る重要な要素となります。
写真が好きな人、文章を書くのが好きな人の両方にとって、自分の世界観を表現するのにぴったりのジャンルと言えます。
たとえばXやInstagramには、愛犬との日常を美しい写真と心温まる言葉で綴り、多くのフォロワーに感動を与えているアカウントがたくさんあります。それはすでに、立派なフォトエッセイであり、唯一無二の「コンテンツ」です。
エッセイがすべて事実に基づくとも限らない
エッセイは筆者の主観的な視点や感情が中心となるため、客観的な事実の羅列ではなく、事実をどのように受け止め、どう感じたかという内面的な描写が多く含まれます。例えば、昔の記憶を基に書く場合、細部が曖昧だったり、記憶が美化されたりすることは自然なことです。
小説を書くには?
小説は、ゼロから物語を組み立てる創造的な作業です。
- プロットを考える: 物語の骨組みを最初に決めましょう。主人公が誰で、どんな目的を持ち、どんな困難に立ち向かうのか、結末はどうなるのか、といった流れを具体的に構成していきます。
- とにかく書いてみる: 最初から完璧な文章を目指す必要はありません。プロットに沿って、まずは勢いで書いてみることを優先しましょう。
- 推敲する: 書き終えた文章を読み返し、より良い表現がないか、物語の流れに矛盾がないかなどを丁寧に修正していきます。
小説を書き始めたことがある人にはきっとわかっていただけると思いますが、小説を書くことは、決して簡単なことではありません。プロットを考える段階で物語が行き詰まったり、登場人物の心情をうまく表現できなかったりすることは、誰もが経験することです。そのため、「小説を書きたい」と思った人が途中で挫折してしまうケースも少なくありません。
しかし、だからといって諦める必要はありません。
重要なのは、最初から長編小説のような大作に挑戦しようとしないことです。まずは、以下の点を意識してみましょう。
- 基本的なルールや技法を知る: 「起承転結」といった物語の構成や、地の文とセリフの書き分け、描写の方法など、文章の書き方の基本を学ぶことで、執筆が格段にスムーズになります。
- ショートショートから始める: 短い物語である「ショートショート」は、初心者の練習に最適です。複雑なプロットや多くの登場人物を考える必要がなく、「オチ」を意識して簡潔にまとめる練習ができます。
小説は、奥が深く、学ぶべきことも多いジャンルです。まずはショートショートのような短い作品から「書いてみる」ことで、小説を書くことの楽しさを実感し、徐々にステップアップしていくのがおすすめです。
エッセイを書くには
エッセイは、あなたの日常や内面がテーマになります。
- 題材を見つける: 日々の生活の中で心に引っかかった出来事や感情をメモしておきましょう。特別な体験でなくても、些細な発見や感動が素晴らしい題材になります。
- 構成を組み立てる: 厳密なルールはありませんが、導入→本論→結論という流れで書くと、読者に伝わりやすくなります。
- 自分らしい言葉で書く: エッセイの魅力は、書き手の個性や人柄がにじみ出ることです。飾らない、素直な言葉で書くことが、読者の共感を呼びます。
自分らしい言葉で書く: エッセイの魅力は、書き手の個性や人柄がにじみ出ることです。飾らない、素直な言葉で書くことが、読者の共感を呼びます。
現代は無意識にエッセイを書いている人が多い
SNSが普及する前は、エッセイは本や雑誌に載せる特別なものでした。しかし、今は誰でも気軽に文章を発表できるようになったため、エッセイが身近な存在になったと言えます。NoteやSNSでの発信がきっかけで、プロの作家として書籍を出版する人も増えています。
最近流行しているZINEのジャンルにエッセイも含まれる
ZINE(ジン)は、個人や少人数のグループが自由なテーマで制作する、自費出版の小冊子のことです。手作り感が大きな魅力で、表現方法に決まったルールがないため、非常に多様なジャンルが存在します。そのなかでも「エッセイ」は人気のジャンルとなります。
1. アート・ビジュアル系
- 写真ZINE: 旅の風景、日常のスナップ、特定のテーマ(例:フィルムカメラで撮った街並み)に沿った写真集。紙の質感や印刷方法にもこだわることが多く、デジタルデータとは異なる表現が楽しめます。
- イラストZINE: 漫画やイラスト、絵画などを中心としたZINEです。自分の作品集として発表したり、特定のキャラクターやテーマ(例:食べ物のイラスト)でまとめたりします。
2. 読み物系
- エッセ・日記: 筆者の個人的な経験や思考、日々の出来事を綴ったものです。ブログやSNSのエッセイをZINEとしてまとめるケースも多いです。
- 詩集・小説: 短編小説や詩をまとめたものです。特にショートショートはZINEとの相性が良いとされています。
- 評論・研究: 好きなもの(例:特定の映画、音楽、民俗学など)について深く掘り下げた、情報量の多いZINEです。
3. 記録・情報系
- 旅行記: 旅の思い出を写真と文章でまとめたもの。単なる日記ではなく、特定の場所の魅力を伝えるガイドブックのような役割を果たすこともあります。
- 特定のテーマに特化したZINE: 料理のレシピ集、お店の紹介、趣味のコレクション(例:切手、鉱物など)をまとめたものなど、ニッチなテーマを深く掘り下げたZINEが多く見られます。
一冊の本は、時代を超えて残り続けます
SNSは、あなたの想いを瞬時に多くの人に届けられる素晴らしいツールです。しかし、日々大量に投稿される情報の中に、せっかくの文章や写真は埋もれてしまいます。
そして、私たち人間の命やSNSのサービスには限界があり、いつか終わりが来てしまいます。デジタルデータは、技術の進歩やサービスの終了によって、いつか失われてしまう可能性があるのです。
しかし、紙の本は違います。
本は、ものとして手に取ることができ、あなたのことばや写真を半永久的に後世に残すことができます。特に、日本の法律では、出版された本は国立国会図書館に永久に保存されることが義務付けられています。令和出版で出版した本も国会図書館に納本させていただきます。
本として残ることによりあなたの想いや言葉、写真は、未来の世代へと受け継がれ、歴史の一部として残り続けます。
あなたと大切な人、あるいは家族との日々を綴った物語も、いつか誰かの手に渡り、何十年後、何百年後も読み継がれるかもしれません。
一過性のデジタルコンテンツではなく、時代を超えて残り続ける「本」として、あなたの想いを形にするお手伝いをさせていただけませんか?
自分の想いを本としてかたちにしたい方へ
文章を書くことは、誰にとっても身近な自己表現です。
しかし、その想いを一冊の本としてかたちにするには、多くの時間と労力、そして専門的な知識が必要です。
「書籍を出版するのは夢のまた夢」
「出版社に企画を持ち込んでも、なかなか話が進まない」
そう感じている方は少なくありません。私たちは、そうした皆さまの想いを大切にし、本を出版する道のりをサポートしたいと考えています。
令和出版では、皆さまのニーズに合わせて、自費出版と協同出版という二つのサービスをご提供しています。
- 自費出版: 著者自身が費用を負担し、出版物のすべてをコントロールできる方法です。企画からデザイン、流通に至るまで、ご自身のこだわりを最大限に反映できます。
- 協同出版: 費用の一部を出版社と著者が共同で負担し、リスクを分かち合う方法です。私たちは編集や流通のノウハウを提供し、皆さまの想いをより多くの読者に届けられるよう尽力します。
皆さまの「伝えたい」という気持ちを、私たちは心から応援します。 もし、あなたの想いを形にしたいと考えているなら、ぜひ一度、私たち令和出版にご相談ください。あなたの物語を、一緒に世に送り出すお手伝いをさせていただけたら幸いです。