本を個人で出版するには?あなたの目的に合った「最適な出版方法」を費用と目的から見つける考え方

本を個人で出版するには?あなたの目的に合った「最適な出版方法」を費用と目的から見つける考え方

「自分の本を出したい」という夢を叶える方法は、主に紙の書籍と電子書籍の2つの大きな選択肢があり、それぞれ費用や手間が大きく異なります。

紙の出版には主に3つの形式があります。

  1. 出版社が費用を負担する商業出版
  2. 費用を分担する協同出版(共同出版)
  3. 全額負担の自費出版

一方、費用をほとんどかけずに個人が手軽に始められるのが電子書籍とPOD出版です。

この記事では、5つの主要な出版形式の費用相場や難易度、制作の自由度を徹底比較して解説します。

個人が本を出版するための完全ガイド:5つの形式と費用を徹底比較

個人が出版する方法は、主に「費用の負担を誰が担うか」によって、大きく5つのタイプに分けられます。

出版形式 費用の負担者 流通・販売 特徴と目的
商業出版 出版社が全額負担 全国のリアル書店、オンライン書店 費用ゼロでプロの力で広く流通させる(企画審査が必須)
協同出版 著者と出版社が分担 リアル書店、オンライン書店など契約によって異なる 費用を抑えつつプロの品質と書店流通を得る(契約内容に注意)
自費出版 著者が全額負担 個人の販売、限定的な書店流通など契約によって異なる 自分の意図通りに自由に本を作る(記念、記録、個人活動など)
電子書籍出版 著者が全額負担 Amazon/楽天などの電子書店 低コスト・最短で作品を公開する(紙の流通なし)
POD出版 著者が全額負担 Amazon/楽天などの電子書店 低コスト・最短で作品を公開する(雑誌のような本、ペーパーバックとして出版可能)

1. 商業出版(企画出版)

出版社が「売れる」と判断した企画に対し、全ての費用とリスクを負担して出版する形式です。

商業出版の最大の魅力は、費用負担が一切ないという点です。著者のコストはゼロであり、さらにプロの編集者やデザイナー、校閲者が関わるため、品質が高い本を制作できます。

また、出版社が責任を持って全国の書店に強力に流通させるため、広い読者層に届く可能性が高いです。

しかし、その反面、企画の採用ハードルが極めて高く、競争率が高いというデメリットがあります。内容やデザインは「売れること」が最優先されるため、著者の自由度は低くなりますし、印税率が低いため、多くの部数が売れないと大きな収入にはなりません。

項目 詳細
費用負担 出版社が全額負担。著者負担はゼロ。
収益 販売実績に応じた印税(定価の5〜10%が相場)が著者に支払われる。
制作の流れ 出版社が企画を主導し、編集者、デザイナー、校閲者などのプロフェッショナルが制作を全て担当する。
流通 最も強力。出版社が取次を通して全国の書店、ネット書店へ確実に配本し、大規模な宣伝も行う。
メリット 費用ゼロで出版でき、高い品質と広い読者層への到達が見込める。
デメリット 企画が採用されるハードルが極めて高い。内容やデザインに関する著者の自由度は低い。

2. 協同出版(共同出版・協力出版)

商業出版と自費出版の中間に位置し、著者と出版社が費用を分担する形式です。

協同出版は、費用を抑えつつ、プロの編集や流通のサポートを得られるのがメリットです。流通プランを選べば書店に本を並べることもでき、商業出版より企画の自由度が高いという利点もあります。一方で、費用分担の割合や契約内容が複雑になりやすく、場合によってはトラブルの原因になることがデメリットです。

また、商業出版ほどの積極的な宣伝やプロモーションは期待できず、実質的に著者の費用負担が大きくなるケースも多く見られます。

最初にどんな点で費用がかかるか、しっかり相見積もりをすることが重要です。

項目 詳細
費用負担 著者と出版社が分担。負担割合は契約によるが、実質的に著者の負担が大きくなるケースが多い。
収益 契約内容に応じた印税や売上の一部が支払われる。
制作の流れ 編集やデザインは出版社が担当するため、自費出版より品質が高くなる傾向がある。
流通 流通は有料オプションとなっていることもあるため、確認が飛鳥。
メリット 商業出版ほど費用をかけずにプロのサポートと書店流通を得られる。
デメリット 費用分担や著作権など契約内容が複雑でトラブルになるリスクがある。商業出版ほどの宣伝・配本は期待できない。

3. 自費出版(自主出版・個人出版)

著者が全費用を負担し、自分の裁量で制作を進める形式です。

自費出版の最も一般的な形式では、「あらかじめ印刷する部数を決め、その全費用を著者が負担して、出来上がった在庫(本)を買い取る」という流れになります。

自費出版は、内容、デザイン、価格設定の自由度が最も高いため、自分の理想通りに本を作りたい場合に最適です。

企画審査がなく誰でも出版できるため、個人的な記念や専門性の高い分野にも適していますし、利益が出た場合の利益率が高いのも魅力です。しかし、最大のデメリットは、費用が全額著者負担となり、数十万を超える金額になるなど高額になりやすいことです。

また、売れ残りの在庫リスクや、全ての責任(校正ミスなど)を著者が負ううえ、販売面での苦労が多いです。

項目 詳細
費用負担 著者が全額負担。制作費の相場は100万〜400万円程度(代行型の場合)。
収益 売上から経費を引いた分が著者の利益となる(利益率が高い)。
制作の流れ 著者の意向が強く反映され、内容やデザインの自由度が最も高い。
流通 限定的。代行型ではオプションで書店流通が可能だが、書店側が仕入れるかは不確実。
メリット 誰でも出版でき、個人的な記念や記録、専門的な分野など、商業ベースに乗りにくい本が出せる。
デメリット 費用が高額になりがち。制作の労力や、売れ残りの在庫リスクも全て著者が負う。

4. 電子書籍出版(セルフパブリッシング)

紙媒体を介さず、電子書籍ストアを通じてデータとして販売する、最も新しい形式の出版です。

電子書籍出版のメリットは、自分ですべての工程をおこなうなら初期費用がかからない(0円〜)ため、最も手軽に始められることです。原稿作成後、最短数時間で出版が可能なほどスピーディーで、データ販売のため在庫リスクがないうえ、印税率が高く設定されている(35%〜70%)のも大きな魅力です。

ただし、紙の本としての物理的な流通がないため、読者層が電子書籍ユーザーに限定されます。また、編集、校正など品質管理を全て自己責任で行う必要があり、クオリティにばらつきが出やすいことや、膨大な作品の中から読者に気づいてもらうための宣伝を自分で行う必要があることがデメリットです。

電子書籍の編集や出版を委託できるサービスもあります。

項目 詳細
費用負担 0円〜。プラットフォーム利用料は基本的に無料。
収益 印刷・製本コストが発生しない分、印税率が高く売上の35%〜70%が著者に支払われることが多い。
制作の流れ 著者自身が原稿作成と入稿を全て行う。最短数時間で出版可能。
流通 Amazon Kindle、楽天Koboなどの電子書店のみでの販売。紙の書店流通はない。
メリット 初期費用を抑えられ、スピーディーに出版できる。在庫リスクがなく、印税率が高い。
デメリット 紙の本としての物理的な流通がない。プロの編集・校正が入らない場合が多く、品質の確保が自己責任となる。

5. POD出版(プリント・オン・デマンド)

POD出版は、在庫を印刷して買い取る従来の自費出版とは異なり、注文が入るたびに1冊ずつ印刷・製本して発送する出版形式です。電子書籍と同様にAmazonなどのプラットフォームを通じて販売されますが、読者の手元には物理的な紙の本(ペーパーバック)が届きます。

POD出版の最大のメリットは、大量の在庫を抱えるリスクと初期の印刷・製本費用をゼロにできる点です。また、紙の書籍として出版できるため、電子書籍には抵抗がある読者にも届けることが可能です。改訂もデータ上で行うため、柔軟に対応できますし、流通もAmazonなどの販売プラットフォームに限定されますが、紙の本を世界に向けて販売できます。

一方、デメリットとしては、ハードカバーや帯、特殊な装丁には対応できないなど、本の仕様に制約があります。そのため、頑丈な子供向けの絵本のような作品は作れません。

流通は主にネット書店に限られ、通常の書店に並ぶことは期待できません。

項目 詳細
費用負担 0円〜。在庫を買い取る費用はゼロ。初期費用は主にデータ制作費。
収益 印税率は販売価格の10%〜30%程度で、プラットフォームや事業者によって異なる。
制作の流れ データを入稿し、注文が入るたびに自動で印刷・発送される。在庫リスクがない。
流通 Amazonなどのネット書店での販売が中心。通常の書店流通(取次経由)はない。
メリット 在庫リスクと初期の印刷費用がゼロ。紙の本を物理的に販売できる。
デメリット 1冊あたりの単価が割高になり、収益性は低い。特殊な装丁やハードカバーには対応できない。

出版形式の最適な選び方

どの出版形式が最適かは、あなたが「本を出すことで何を達成したいか」という出版の目的と「どれだけ費用や労力をかけられるか」という費用面やコストによって決まります。

最も重要な目的 おすすめの出版形式 主な理由
費用をかけたくないが、多くの人に読まれたい 商業出版 費用ゼロで、最も強力な全国書店流通とプロの宣伝力が得られます。ただし、企画が採用される難易度は極めて高いです。

また目を通したくなるような企画書を作る必要もあります。

コストを抑え、在庫リスクなく手軽に発表したい 電子書籍出版 初期費用がほぼゼロで、最短で作品を公開でき、在庫リスクもありません。印税率も高いですが、紙の書店流通はありません。
自分のこだわりを貫き、紙の本を出版したい、在庫を自分で管理したい 自費出版 内容・デザインの自由度が最も高いため、理想を追求できます。ただし、費用は全額著者負担となり、高額な在庫リスクを負います。
費用を抑え、書店に並ぶという形を残したい 協同出版 費用を分担することで、プロの編集と出版社の流通ルートを利用できます。自費出版よりは費用対効果が高いことが多いです。
在庫を持たずに、紙の本を販売したい POD出版 注文後に印刷するため、在庫リスクがゼロです。書店流通は限定的ですが、紙の書籍としてAmazonなどで販売できます。

どうするか悩んでしまったり、決められない場合は協同出版や自費出版に問い合わせて予算等を含めて相談することをおすすめします。

補足:コストをかけずに商業出版を目指す場合

商業出版を無料で実現するには、出版社に「この本は必ず売れる」と判断させる企画力と実績がかぎになります。

1. 企画書や原稿の「直接持ち込み・送付」

著者が作成した企画書や完成原稿を、出版社に直接送付したり、出版社が設ける持ち込み窓口を通じて提案したりします。

2. コンテスト・公募・文学賞への応募

出版社や団体が主催する文学賞、ビジネス書大賞、ノンフィクション賞などに応募するルートです。賞の審査を通過することで、その賞を主催する出版社からの商業出版が約束されます。賞によっては、部門を問わず優秀作品は出版化の対象となります。

3. 既にある「実績」や「影響力」を活用する

すでに著者が持っている実績や影響力(SNSフォロワー、ブログアクセスなど)を武器にする方法です。

ブログやnote、SNS(X、Instagramなど)で特定の分野において熱狂的なフォロワーや高いアクセス数を持ち、「すでに販売力がある」ユーザーには出版社から直接商業出版の声がかかることがあります。

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