kindle出版の電子書籍のロイヤリティ(印税)は70%と35%どちらを選ぶべき?

kindle出版の電子書籍のロイヤリティ(印税)は70%と35%どちらを選ぶべき?

Kindle出版では電子書籍のロイヤリティ(印税)の還元率を35%にするか70%にするかを著者自身が選ぶことができます。

どちらのロイヤリティプランを選ぶべきかは、出版する電子書籍の目的や戦略によって異なります。それぞれのプランの主な特徴を再確認し、ご自身のケースに照らし合わせて検討してみましょう。

35%ロイヤリティプラン

メリット

(1)価格設定の自由度が高い
99円から20,000円の範囲で自由に価格を設定できます。高価格な専門書などを販売したい場合に適しています。

(2)KDPセレクトへの登録が任意
Amazonだけでなく、他の電子書籍ストアでも販売したい場合に選択できます。

デメリット

(1)収益率が低い: 70%プランに比べて、1冊あたりの収益が少なくなります。

70%ロイヤリティプラン

メリット

(1)収益率が高い: 販売価格から配信コストを差し引いた額の70%が収益になるため、1冊あたりの収益が高くなります。

デメリット

(1)価格設定に制限がある

250円から1,250円の範囲内で価格を設定する必要があります。
また、紙の書籍を同時に出版しているのであれば、電子書籍の価格を紙の書籍の希望小売価格よりも20%以上安く設定しなければなりません。

(2)Kindleストアでの独占販売

KDPセレクトに登録するため、他の電子書籍ストアで販売することができません。

(3)配信コストがかかる: ファイルサイズに応じて配信コストが発生します。(35%プランでは発生しません。)

注意点

(1)Kindle Unlimitedの対象になる

KDPセレクトに登録することが必須であり、読み放題によるページごとの収益も期待できますが、一方で読み放題対象のためわざわざ書籍の購入をする人が少なくなると考えられます。

メリット・デメリットについては「Kindleセレクトとは?価格のメリットやデメリット、独占販売の注意点を解説」で説明しています。

35%と70%、どちらのロイヤリティを選ぶべきか?

35%ロイヤリティプラン 70%ロイヤリティプラン
収益率 35% 70%(販売価格から配信コストを差し引いた額の70%)
価格設定 99円〜20,000円 250円〜1,250円
KDPセレクト 登録は任意(他のストアでの販売も可能) 登録必須(Kindleストアでの独占販売)
配信コスト なし あり(ファイルサイズに応じて)
主なメリット 価格設定の自由度が高い
KDPセレクトへの登録が任意
収益率が高い
Kindle Unlimitedの対象になる
主なデメリット 収益率が低い 価格設定に制限がある
Kindleストアでの独占販売
配信コストがかかる
こんな人におすすめ すでに知名度がある
高額な専門書を販売したい
他のプラットフォームでも販売したい
知名度を上げたい
多くの人に読んでもらいたい
レビューを増やしたい

これから知名度を上げたい、レビューを増やしたい、多くの人に読んでもらい場合

70%プランがおすすめです。価格設定は限られますが、収益率が高く、Kindle Unlimitedで読まれる機会も増えるため、読者の裾野を広げやすいです。

すでに知名度がある、SNSでたくさんのフォロワー数やファンがすでにいる、電子書籍の金額を1,250円以上で販売したい

35%プランが適しています。価格設定の自由度を活かして、本の価値に見合った価格を設定することができます。他のプラットフォームでも販売したい場合にも向いています。

最終的には35%と70%どちらではなく3つの中から選ぶかたちになる

1. 70%のロイヤリティ(KDPセレクトに登録する)

この場合、KDPセレクトに登録することが必須になります。メリットは、収益率が高く、Kindle Unlimitedを通じて多くの読者にリーチできることです。デメリットは、Kindleストアでの独占販売となり、価格設定にも制限があります。

2. 35%のロイヤリティ(KDPセレクトに登録する)

あまりこの選択をする人はいないかもしれませんね。メリットは、Kindle Unlimitedの対象になるため、読者の目に留まる機会を増やすことができる点です。デメリットは、収益率が低い上に、Kindleストアでの独占販売となり、他のプラットフォームで販売できなくなります。

1. 35%のロイヤリティ(KDPセレクトに登録しない)

Kindleストア以外でも自由に電子書籍を販売できることがメリットです。注意点はKindle Unlimitedの対象にならず、収益率も70%と比べて低くなります。

これらの3つの戦略は、ロイヤリティプランの選択肢である「35%」と「70%」に、KDPセレクトへの「登録有無」という要素が加わることで生まれるものです。ご自身の出版目的や戦略に合わせて、最適な方法を選ぶことが重要です。

シミュレーションをしてみよう(1)

迷ったら具体的な販売金額をシミュレーションしてみましょう。

今回は電子書籍が購入されたときのロイヤリティ(印税・収益)がおなじになるように試算してみました。

  • ケースA: 販売価格を1,000円に設定し、ロイヤリティ70%を選択
  • ケースB: 販売価格を2,000円に設定し、ロイヤリティ35%を選択

 

比較項目 ケースA
(1,000円、70%)
ケースB
(2,000円、35%)
1冊あたりの収益 1,000円 × 70% = 700円 2,000円 × 35% = 700円
収益率 70% 35%
販売数100冊の場合の収益 700円 × 100冊 = 70,000円 700円 × 100冊 = 70,000円

シミュレーションから分かること

このシミュレーションから、1冊あたりの収益額が同額になることが分かります。しかし、これだけでどちらのプランが優れているかを判断することはできません。

ケースA(1,000円、70%)のメリット

より多くの読者が購入を検討しやすい手頃な価格帯です。結果として、販売数を伸ばしやすい可能性があります。

70%プランはKDPセレクトへの登録が必須のため、Kindle Unlimitedの読み放題対象となり、販売以外の収益源(読まれたページ数に応じた収益)も期待できます。

ケースB(2,000円、35%)のメリット

2,000円のため、電子書籍としては高い相場となり本の持つ専門性や価値を価格で示したい場合に有効です。ページ数によっては高いと思われる可能性もあります。

Kindle Unlimitedの対象にするかどうかは任意で決められます。Amazon以外でも販売したい場合にも適しています。

シミュレーションをしてみよう(2)

次は販売価格を1,000円に設定し、ロイヤリティ70%と35%の場合で、同じ収益を得るのに必要な販売数を比較するシミュレーションをしてみましょう。

ここでは、販売価格を1,000円に統一して比較します。

  • ケースA:1冊あたり700円の収益(ロイヤリティ70%)
  • ケースB:1冊あたり350円の収益(ロイヤリティ35%)

 

目標収益 ロイヤリティ70%の場合
(1冊あたり700円)
ロイヤリティ35%の場合
(1冊あたり350円)
7,000円 10冊 20冊
35,000円 50冊 100冊

販売価格が同じ場合、ロイヤリティ35%のプランは、70%プランの2倍の販売数が必要になります。

そして今回のように1,000円の販売価格であるならば、Kindle以外での販売を考えていない限りロイヤリティ35%を選ぶ必要性はありません。

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