印税とは?本の印税の仕組み・相場・計算方法まとめ

印税とは?本の印税の仕組み・相場・計算方法まとめ

本を出版することを考え始めると、必ずといっていいほど気になるのが「印税」という言葉です。なんとなく「本が売れると著者に入ってくるお金」というイメージを持っている人は多いものの、具体的にどのように金額が決まり、どのようなタイミングで支払われるのかまで正確に理解している人は多くありません。

「印税生活」という言葉が独り歩きしているせいか、実態以上に大きな金額を想像してしまう人も少なくないようです。この記事では、印税の基本的な仕組みと相場、計算方法、自費出版で印税を受け取る際の注意点についてご紹介します。

印税とは何か

印税とは、本が売れた際に、著者が出版社や販売元から受け取る対価のことです。英語では「royalty」と表記され、本の価格や発行部数・実売部数に一定の料率をかけて計算されるのが一般的な仕組みです。給与のように毎月決まった額が支払われるものではなく、本の売れ行きに応じて金額が変動する点が、会社員の収入などとは大きく異なります。

もともとは、書籍の奥付に押す検印(本物であることを示すはんこ)の数に応じて支払われていたことが「印税」という言葉の由来とされています。現在はこの検印の慣習はほとんど残っていませんが、名称としての「印税」はそのまま使われ続けています。

印税は、著者が原稿を書き上げたことに対する対価であると同時に、本という商品が売れて初めて発生する成果報酬的な性質を持っています。原稿執筆時点でまとまった金額が保証されているわけではない点は、あらかじめ理解しておく必要があります。

印税率の相場

印税の料率は、出版の形態や出版社との契約内容によって幅があります。同じ商業出版であっても、著者の実績や本のジャンル、出版社の方針によって料率は変動するため、あくまで目安として押さえておきましょう。一般的にいわれている相場は次のとおりです。

出版形態 印税率の目安
商業出版 おおよそ3~20%(多くは10%前後)
自費出版 おおよそ5~10%
企業出版 おおよそ5~10%
Kindleなどの電子書籍 価格帯に応じて35%または70%

電子書籍の印税率が紙の本に比べて高く設定されているのは、印刷・製本・在庫管理といった紙の本特有のコストがかからないためです。同じ「本」であっても、紙か電子か、どの出版形態を選ぶかによって、著者が受け取れる割合は大きく変わってきます。

なお、POD(プリント・オン・デマンド)を利用したセルフパブリッシング型のサービスでは、「印税」という呼び方ではなく、販売価格から印刷費や手数料を差し引いた分を著者の取り分とする仕組みを採用している場合もあります。呼び方や計算の考え方がサービスによって異なるため、利用する際は取り分の算出方法を個別に確認することが大切です。

印税の計算方法

印税の金額は、基本的に次の計算式で求められます。

本体価格 × 発行部数(または実売部数) × 印税率

たとえば、本体価格1,000円の本を3,000部発行し、印税率が10%だった場合、「1,000円 × 3,000部 × 10% = 30万円」が印税の目安になります。発行部数を基準に計算する方式は「発行印税」と呼ばれ、刷った部数に応じて金額が確定するため、著者にとっては見通しを立てやすい方式です。

一方で、実際に販売できた部数に応じて支払う「実売印税」という方式もあります。この場合は発行部数ではなく売れた部数を基準に計算されるため、思うように売れなければ想定より受け取り額が少なくなることもあります。どちらの方式を採用しているかによって、同じ印税率でも受け取れる金額の考え方が大きく変わってくるため、契約内容をよく確認しておくことが大切です。

印税が支払われるタイミング・条件

印税の支払いタイミングは、出版社や契約内容によって異なりますが、発行部数分をまとめて支払う「発行印税」の場合は、本が刷り上がったタイミングで支払われることが一般的です。一方、実売部数に応じて支払う「実売印税」の場合は、四半期や半年、1年ごとなど、あらかじめ決められた周期で精算されるケースが多く見られます。

契約を結ぶ際には、印税率だけでなく、発行印税と実売印税のどちらの方式か、支払いのタイミングや周期、消費税の扱いなどもあわせて確認しておくと、後から認識のずれが生じにくくなります。増刷(重版)が決まった場合は、増刷分についても改めて印税が発生するのが一般的です。増刷のタイミングや条件についても、契約時にあわせて確認しておくと安心です。

自費出版で印税を受け取るための注意点

自費出版の場合、著者自身が製作費用を負担する分、印税の考え方も企画出版とは異なる場合があります。契約形態によっては、印税という名目ではなく、売上から手数料を差し引いた分を著者の取り分とする「収益分配」の仕組みを採用しているケースもあります。

また、企業出版のように「何万部も売れなければ収入源にはならない」といわれるほど、印税単体で大きな利益を得ることは簡単ではありません。自費出版・企業出版においては、印税収入そのものよりも、本を通じたブランディングや、伝えたいメッセージを届けることを主な目的として位置づけているケースが多いのが実情です。

そのため、出版社を選ぶ際には、印税率の高さだけを基準にするのではなく、編集や装丁、流通支援など、費用に見合ったサポートを受けられるかどうかもあわせて確認することが大切です。見積もりを取る段階で、印税や取り分の計算方法について遠慮なく質問しておくと、後々のトラブルを防ぎやすくなります。

印税の仕組みを理解して出版計画を立てよう

印税は、本の価格・部数・料率によって金額が決まる、著者にとって身近でありながら誤解も多い仕組みです。商業出版・自費出版・電子書籍それぞれで相場や計算方法が異なるうえ、発行印税か実売印税かによっても受け取り方が変わるため、契約前にどの方式が採用されているのかを確認しておくことが欠かせません。

印税の仕組みを正しく理解したうえで、本を出版する目的や収支の見通しを整理し、出版社とも認識をすり合わせながら、無理のない出版計画を立てていきましょう。

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記事の著者:田中 千夏(編集)

文学部卒業。アルバイトとして観光雑誌の編集に携わったのをきっかけに、以降15年以上にわたり編集業務に従事。大学卒業後はWeb制作会社にて、ライティングやデザインといった編集業務を担当。大手企業の企画編集経験を経て、現在は令和出版にて編集部門にて企画・制作進行管理と実務編集を兼任。

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