弊社では現在、注文に応じて1冊から印刷・出荷する「POD(プリント・オン・デマンド)」形式での自費出版をサポートしています。
この方式の特徴は、一般的な単行本のようなソフトカバーや帯が付かないことです。そのため、一般的な商業出版の本と比較して、本の販売価格(定価・売値)で迷われる方も多くなっています。
そこで、この記事では専門的な視点から改めて判断材料を整理してお伝えします。
目次
Toggle(1)前提として、自費出版は総じて販売価格が高くなりがちであること
まず前提として、自費出版は総じて販売価格が高くなりがちです。
これには明確な理由があります。大手の商業出版は、一度に数万部という膨大なロットで印刷するため、一冊あたりの製造単価を極限まで抑えることができます。
しかし、初回で必要な印刷分を刷るだけの自費出版やPOD出版は「小ロット生産」です。ロット数が少ないため、どうしても一冊あたりのコストが高額にならざるを得ないという背景があります。さらに昨今は、世界的な紙代や印刷コストの高騰も続いています。商業出版と同じ「安さ」で競うのではなく、「この本でしか得られない価値」に対して適正な価格をつけるという考え方が大切です。
(2)「本の厚み(ページ数)」と納得感のバランス
読者が本を手に取ったとき、無意識に「この厚みならこれくらいの値段だろう」というコストパフォーマンスを判断します。
180ページ前後のボリュームの場合、背表紙もしっかりと厚みが出るため、1,500円〜2,000円という価格設定でも「本としての質感・納得感」が出やすくなります。
100ページ程度のコンパクトな本は、雑誌のような軽快さが魅力ですが、一般書と同じ1,800円などの設定だと、手に取った際に「少し高いかな?」と感じられる場合があります。
(3)「専門書」や「ノウハウ」としてのブランディング
大手の商業出版は数万部という膨大な発行ロットがあるため販売価格を低く抑えられますが、自費出版のような小ロット生産では一冊あたりの原価が高くなるという背景があります。
読者にとっては、商業出版として出版されている一般の文芸書や雑誌と比較すると高く感じられると思いますが、大学のテキストや学術的な専門書籍などは、ページ数が絞られていても数千円という価格設定が一般的ではあります。
(4)本の販売価格が与える「価値」への影響
価格設定における懸念点として、販売用としても寄贈を目的とした自費出版の際も、価格から得る読者の印象は大きいということが挙げられます。せっかく質の高い内容であっても「安価なもの」として見られてしまうリスクも生じます。
特に本は中身を読むまでがその価値がわからないため、「いいものを書いているからこそ、安売りしすぎない」という視点は、ブランドや作品の格を守る上でも非常に大切です。
(5)販売価格と印税の関係
商業出版では「定価の10%」のように印税率が固定されていることが多いですが、自費出版(POD)では「製造原価と手数料を引いた残りの全額」を著者印税として設定できるケースがほとんどです。
- 価格を高く設定した場合
製造コストは変わらないため、上がった分がそのまま著者の利益(印税)としてに上乗せされます。 - 価格を低く設定した場合
製造コストと最低限の手数料は削れないため、著者の取り分(印税)を減らすことで販売価格を下げることになります。
(6)自費出版のメリットとしての価格設定の自由度
商業出版では基本的に販売価格は出版社が決めます。一方で販売価格の自由度が高いのが自費出版のよさです。
最終的に著者さまが自分で納得のいく金額を決められるのが、自費出版の大きなメリットになります。
編集者の筆者はいま6名の著者様の作品について出版にむけて携わっています。ここ数ヶ月の傾向をお話すると、①をメインに②~③を希望されるかたも増えてきています。
①バランス重視型
170ページ前後のボリュームを確保し、1,500円〜2,000円で「本としての質感と納得感」を両立させる方。
②専門性・ノウハウ特化型
ページ数は100ページ前後とコンパクトながら、独自の専門知識やノウハウを凝縮し、3,000円を超える高単価で「価値」を売る方。
③普及・最安値重視型
「印税(著者の利益)は不要」と割り切り、最安値でできるだけ多くの方に読んでもらうこと、届けることを優先する方。
後悔しない自費出版の価格を考えるために
自費出版における価格設定は、単なる「数字」の問題ではなく、その本をどのような「存在感」で世に送り出したいかという、著者さまの想いの表れでもあります。
令和出版では、上記のような市場の傾向やコストの背景を踏まえ、お客様一人ひとりと丁寧にご相談しながら最終的な販売価格を決定しております。
「自分の本なら、どのパターンが最適だろう?」
「180ページに増やすのと、価格を下げるのとでは、どちらが読者に喜ばれるか?」
そんな悩みも、ぜひ私たちにお聞かせください。著者さまと読者の双方にとって、最も幸福な着地点を一緒に見つけ出していきます。