本を出版し、お世話になった方やメディア関係者に献本する際は、本だけを送るのではなく、必ず送付状(挨拶文)を添えるのがマナーです。誰から、どのような理由で贈られた本なのかが一目で伝われば、受け取った側も戸惑うことなく、気持ちよく本を受け取ることができます。本記事では、献本の送付状に書くべき内容と、そのまま使える例文をご紹介します。
目次
Toggle献本の送付状とは
献本の送付状とは、本を贈る際に同封する挨拶文のことです。宅配便や郵送で本を送る場合、本だけが届いても、受け取った相手は「誰から、なぜ届いたのか」が分からず戸惑ってしまいます。
送付状には主に3つの役割があります。1つ目は、差出人と贈る理由を伝えること。2つ目は、出版した事実を報告すること。3つ目は、感想やお付き合いのお願いなど、著者としての気持ちをやわらかく伝えることです。送付状がないまま本だけを送ってしまうと、相手に唐突な印象を与えたり、そもそも開封してもらえなかったりする可能性もあります。献本には必ず一枚の送付状を添えましょう。
送付状に書く6つの基本要素
献本の送付状には決まった形式こそありませんが、盛り込んでおくべき要素は共通しています。以下の6つを押さえておけば、失礼のない送付状に仕上がります。
- 時候の挨拶・日頃のお礼:季節の挨拶と、日頃お世話になっていることへの感謝を述べます
- 出版の報告:書名と発売日を明記し、出版した事実を伝えます
- 本の簡単な紹介:どのような内容の本かを1〜2文で簡潔に紹介します
- 贈る理由:「日頃の感謝を込めて」「ご指導いただいた御礼として」など、なぜその方に贈るのかを一言添えます
- 結びの挨拶:感想を求める場合は「お時間のあるときにご一読いただければ幸いです」程度に控えめにとどめます
- 署名:氏名、日付、連絡先(メールアドレスや電話番号)を記載します
【例文】献本の送付状テンプレート3パターン
送付状は相手との関係性によって、文体や敬語のレベルを変える必要があります。ここでは代表的な3パターンの例文をご紹介します(いずれも一般的な文例です)。
お世話になった方・目上の方へ(フォーマル)
上司や恩師、取引先など、目上の方に贈る場合は「拝啓〜敬具」の形式を用いた丁寧な文面が基本です。
拝啓
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。日頃より大変お世話になり、心より御礼申し上げます。
このたび、『(書名)』を〇年〇月〇日に上梓いたしました。長年温めてまいりましたテーマを一冊にまとめたもので、〇〇について私なりの考えをまとめております。
日頃のご指導への感謝の気持ちを込めて、拙著をお送りさせていただきます。お忙しいところ恐縮ですが、お時間のあるときにお目通しいただければ幸いに存じます。
末筆ながら、〇〇様のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
敬具
〇年〇月〇日 〇〇〇〇(氏名) 連絡先: 〇〇〇〇
友人・知人へ(カジュアル)
友人や知人には、堅苦しい形式にとらわれず、素直な喜びや感謝を伝える柔らかい文面が好まれます。
〇〇さんへ
ご無沙汰しています。お元気にお過ごしでしょうか。
このたび、『(書名)』というタイトルで初めての本を出版しました。〇〇について書いた一冊で、自分にとって大きな一歩になりました。
日頃からいつも応援してくれている〇〇さんに、まず一冊お届けしたくて送りました。気が向いたときにでも、読んでもらえたら嬉しいです。
また落ち着いたら、ゆっくりお話しできればと思います。今後ともよろしくお願いします。
〇年〇月〇日 〇〇〇〇
メディア・書店・書評家へ(ビジネス)
メディアや書評家宛てには、書籍概要を箇条書きで添え、紹介の可否は相手の判断に委ねる控えめな依頼が適切です。
拝啓
貴社ますますのご発展をお慶び申し上げます。突然のご連絡失礼いたします。
このたび下記の書籍を出版いたしましたので、ご恵贈申し上げます。もしご興味をお持ちいただけましたら、貴媒体にてご紹介いただければ幸いです。
【書籍情報】
・書名: 〇〇〇〇
・著者: 〇〇〇〇
・発売日: 〇年〇月〇日
・ISBN: 978-〇-〇〇〇〇〇〇-〇〇-〇
・Amazonページ: 〇〇(URL)ご多用のところ恐縮ですが、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。
敬具
〇年〇月〇日 〇〇〇〇(氏名・連絡先)
献本・送付状のマナーと注意点
献本と送付状には、内容以外にも押さえておきたい基本マナーがあります。
- 発売前後の早いタイミングで送る:発売から時間が経ちすぎると、報告としてのタイミングを逃してしまいます
- 手渡しできる相手には直接渡すのが最善:直接会える機会があるなら、本と一言を添えて手渡しする方が気持ちが伝わりやすいです
- 感想の催促や紹介の強要はしない:読むかどうか、紹介するかどうかは相手の自由であるという前提を忘れないようにしましょう
- 宛名・肩書の誤りは厳禁:会社名・役職・氏名の誤字脱字は失礼にあたるため、送付前に必ず確認しましょう
- メディア向けは返信がなくても気にしない:多忙な相手も多いため、返信の有無で一喜一憂しないことが大切です
献本の効果を高めるひと工夫
献本は送付状に加えてひと工夫を添えると、相手の印象に残りやすくなります。
送付状は手書きと印刷どちらでも問題ありません。ビジネスシーンやメディア宛てには印刷でも失礼にあたりませんが、目上の方や特にお世話になった方には、一言だけでも手書きの一筆を添えると、より丁寧な印象になります。
たとえば、付箋やメッセージカードで「特に読んでいただきたい章」を示しておくと、多忙な相手でも本の要点をすぐに把握できます。また、名刺サイズの出版お知らせカードを同封しておくと、周囲の方への口コミや紹介のきっかけにもなります。令和出版のプランでは、こうした出版お知らせカードが100枚含まれており、献本や名刺代わりの配布に活用できます。
さらに、送付状の末尾にSNSアカウントやAmazonページへのリンクを記載しておくと、感想や紹介をしていただく際の導線になります。
せっかくならプレスリリース配信(過去実績で平均15メディアに掲載)とあわせて活用すると、献本による個別のご縁だけでなく、メディア露出による認知拡大も期待できるでしょう。本の魅力を伝える文章づくりは本の紹介文の書き方の記事もあわせてご覧ください。
献本を受け取る側になったら
本記事は献本を「送る側」の送付状に焦点を当てて解説しましたが、逆に本を献本していただいた際は、お礼を伝えるのがマナーです。詳しくは献本のお礼マナー(もらう側)の記事で解説しています。