本を出版したものの、「思ったより読まれない」「どう広めればいいかわからない」と感じていませんか。実は、本は出版した瞬間がゴールではなく、そこから読者に届けるための活動が始まります。
この記事では、本のマーケティング施策の定義や必要性、具体的な施策の全体像を整理し、混同されやすい「出版ブランディング」との違いについても解説します。
目次
Toggle本におけるマーケティング施策とは何か
それは、出版した本をより多くの読者に届けるために行う販促・広報活動全般の総称です。表紙やタイトルの見せ方をはじめ、SNSでの発信、書評・レビューの獲得、書店での展開、プレスリリースによるメディア露出など、出版後に読者との接点を作るあらゆる活動が含まれます。
言い換えると、本のマーケティング施策は「本をどう作るか」ではなく「本をどう知ってもらい、手に取ってもらうか」に焦点を当てた考え方です。
紙の本・電子書籍を問わず、出版形態にかかわらず必要になる取り組みといえます。
なぜ本にマーケティングが必要なのか
本のマーケティング施策が必要な理由は、現代の日本では出版される本の数が非常に多く、出版しただけでは読者の目に触れにくいという構造があるためです。
書店やオンライン書店には日々新しい本が並び、読者が偶然その本を見つけて手に取る確率は決して高くありません。しかし、自費出版やPOD出版の場合、大手出版社のような既存の販売網や宣伝体制を持たないケースが一般的です。
そのため、著者や出版社の側から能動的に発信し、読者との接点を意図的に作り出す活動が重要になります。
「良い本を作ること」と「その本を読者に届けること」は、性質の異なる別の取り組みです。本のマーケティング施策は、後者を担うための考え方だと理解しておくとよいでしょう。
本のマーケティング施策の全体像
本のマーケティング施策の施策は、大きく分けて次の6つのカテゴリに整理できます。それぞれの目的と一般的な取り組み内容を表にまとめました。
| カテゴリ | 目的 | 一般的な取り組み例 |
|---|---|---|
| 見せ方の工夫 | 手に取ってもらうきっかけを作る | 表紙デザイン、タイトル、キャッチコピーの検討 |
| SNS・著者発信 | 著者自身への関心を育てる | X(旧Twitter)やInstagramなどでの執筆過程・刊行情報の発信 |
| 書評・レビュー獲得 | 第三者からの信頼性を補強する | 読者や書評ブログへの献本、レビュー投稿の呼びかけ |
| 書店での展開 ※商業出版などで 書店流通がある場合 |
店頭での視認性を高める | POPの設置、フェア出展(商業出版で行われることが多い施策) |
| メディア露出 | 刊行の事実を広く知らせる | プレスリリースの配信、メディアへの取材依頼 |
| タイミング設計 | 話題性を集中させる | 発売前後の期間に告知や発信を集中させる |
手に取ってもらうための見せ方
読者が本と出会う最初の接点は、多くの場合、表紙やタイトル、キャッチコピーです。どれだけ内容が優れていても、見せ方が読者の関心を引かなければ、手に取ってもらう機会自体が生まれません。表紙イメージの固め方やキャッチコピーの作り方については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
SNSでの発信・著者としての情報発信
SNSでの発信は、著者自身への関心を育てる手段として広く使われています。執筆の背景や刊行に至るまでの経緯、日々の考えなどを発信することで、読者が「この著者の本を読んでみたい」と感じるきっかけになります。X(旧Twitter)やInstagramなど、著者の発信スタイルに合ったプラットフォームを選ぶことが一般的です。
書評・レビューの獲得
読者は購入を検討する際、他の読者の評価を参考にする傾向があります。Amazonなどオンライン書店のレビューや書評ブログでの紹介は、著者本人の発信だけでは伝わりにくい「第三者からの評価」として機能します。読んでもらった読者にレビュー投稿を依頼するなど、地道な働きかけが必要になる領域です。
書店での展開
紙の本の場合、書店店頭でのPOP設置や関連フェアへの出展といった施策も存在します。ただしこれらは主に商業出版の流通ルートを前提とした一般的な例であり、自費出版・POD出版ではおもに広告出稿に値します。
プレスリリース・メディア露出
刊行の事実そのものをニュースとして発信するのがプレスリリースです。テーマ性やタイミングによっては、メディアに取り上げられることで、SNSや書店での発信だけでは届かない層にまで情報が広がる可能性があります。
発売前後のタイミングを意識した広報
本のマーケティング施策は、発売直後だけでなく発売前からの準備が重要とされています。発売前に期待感を高め、発売直後に発信を集中させることで、話題性が生まれやすくなるという考え方が一般的です。
紙の本と電子書籍で本のマーケティング施策は何が違うのか
紙の本と電子書籍(Kindleなど)では、本のマーケティング施策の基本的な考え方は共通していますが、施策の具体的な進め方には違いがあります。
例えば、SNSでの発信や著者としての情報発信、書評・レビューの獲得といった活動は、紙・電子を問わず共通して重要です。一方で、書店店頭での展開のように紙の本に特有の施策もあれば、電子書籍のプラットフォーム上での見せ方や告知のタイミングなど、電子書籍ならではの工夫が求められる場面もあります。
Kindle出版に絞った具体的な施策や、その背景にある考え方については、以下の記事で詳しく解説していますので、電子書籍での販促を検討されている方はあわせてご覧ください。
「出版ブランディング」との違いは何か
本のマーケティング施策と出版ブランディングは、どちらも出版に関わる言葉ですが、着目している軸が異なります。
出版ブランディングは、「本を出すこと自体が著者の信頼構築につながる」という切り口に立った考え方です。専門知識を体系立ててまとめ、一冊の本として世に出すことそのものが、著者としての信頼性や専門性を示す材料になるという発想が中心にあります。
一方で本のマーケティング施策は、出版した本を実際に読者へ届けるための活動に焦点を当てています。つまり、出版ブランディングが「本を出すこと」を起点にした信頼構築の話であるのに対し、本のマーケティング施策は「出した本をどう広めるか」という販促の話であるという違いがあります。
両者は対立する考え方ではなく、出版という一連の流れの中で役割が異なる、と捉えるとわかりやすいでしょう。出版ブランディングの詳しい考え方については、以下の記事をご参照ください。
自費出版・POD出版において本のマーケティング施策が重要な理由
自費出版やPOD出版においては、重要性が一段と高まります。大手出版社が持つような既存の販促網や書店との関係、広報体制を、個人の著者や小規模な出版社が同じ規模で持つことは一般的に難しいためです。
そのため、著者自身の発信力や、表紙・キャッチコピーの工夫、レビュー獲得への働きかけ、プレスリリースの活用といった一つひとつの施策が、本の届き方を大きく左右する要素になります。出版そのものだけでなく、出版後の活動まで見据えて準備しておくことが、自費出版・POD出版を検討するうえで欠かせない視点だといえるでしょう。
令和出版では、PODでの出版に加えて、ウェブプロモーションや販促用ランディングページの制作、プレスリリース配信など、出版後の告知・販促・ブランディングまでを幅広くサポートしています。過去の実績では、平均して15媒体程度のメディアに掲載された事例もあります。文章メインでの出版を検討されている方は、スタンダード出版プランもあわせてご確認ください。
よくある質問
Q1. 本のマーケティング施策はいつから始めればよいですか?
一般的には、発売直前ではなく執筆・制作段階から意識しておくことが望ましいとされています。表紙やタイトルの検討段階から本のマーケティング施策を見据えておくことで、発売前後の告知活動もスムーズに進めやすくなります。
Q2. 本のマーケティング施策と出版ブランディングはどちらを優先すべきですか?
優先順位というより、目的が異なる取り組みです。信頼構築を目的とするなら出版ブランディングの視点が、読者への到達を目的とするなら本のマーケティング施策の視点が重要になります。多くの場合、両方を組み合わせて考えることになります。
Q3. 個人でできる本のマーケティング施策施策はありますか?
SNSでの発信、表紙やキャッチコピーの工夫、読者へのレビュー投稿の呼びかけなどは、個人でも取り組みやすい施策とされています。一方、プレスリリース配信やSNSへの広告出稿などは、専門的なサポートを活用したほうが進めやすい場合もあります。
Q4. 電子書籍だけの場合でも本のマーケティング施策は必要ですか?
必要です。電子書籍であっても、出版しただけで読者に見つけてもらえるわけではないため、SNSでの発信やレビュー獲得といった活動は共通して重要になります。電子書籍に特化した施策については、Kindle出版に関する記事もあわせてご参照ください。